まだまだ若く、世界を知らず、子供たちも幼いアン。
突然の余命宣告にショックを受けるアンに
トンプソン先生がくれたのは
ピリッとスパイシーなジンジャーキャンディ。
Story
トレイラーハウスで家族と暮らすアン。
ある日激しい腹痛に襲われ、病院での検査の末癌だと診断される。
進行が早く、余命は2.3ヶ月だと告げられてショックを受けるアン。
誰にも知られず残された時間を有効に使うため、”死ぬまでにしたいことリスト”を書き上げて-。
初めて関係を持った相手との間に子供ができてそのまま結婚、その後は育児と仕事に追われてきたアン。
トレイラーハウスに夫のドンと2人の娘・ペニーとパッツィーの4人で暮らしてきました。
アンの子供時代はあまり幸せなものとはいえず、父親はずっと酒浸りで現在は刑務所にいるらしく、長らく会っていません。
母親は自身の不幸だった結婚生活について嘆き続け、周囲に不満を振りまくばかり。
そんな両親を反面教師として貧しくとも必死で働き、娘たちに愛情を注いで、ドンとも仲良く過ごしてきたアン。
そんなアンを襲った病魔は、あまりにも過酷なものでした。
娘たちを送り出したあと倒れてしまったアンは、母親に発見されて病院へ運び込まれます。
やけに長い検査のせいで、娘たちを迎えに行く時間が気になって仕方がありません。
つい看護師に八つ当たりしつつも、ついて来てくれた母親に娘たちを迎えに行ってもらうよう伝言を頼みます。
ようやくやって来た主治医のトンプソン先生ですが、すぐに終わるといった検査のあと、別の医師たちを連れて戻ってきます。
その後もなぜか待合室のベンチに戻されて訝しげなアンに、トンプソン先生は静かに診断結果を告げるのでした。
こんなに若くなければ進行も遅く、手術が出来たと無念そうに語るトンプソン先生と、ショックで愕然とするアン。
「コーヒーでもどう?」と気遣われたアンは「タバコが吸いたい」と本音をこぼしますが、優しくたしなめられました。
「キャンディを持ってない?」と尋ね直したアンに、トンプソン先生が差し出してくれたのはジンジャー味の黄色いキャンディ。
「ピリッとしていて美味しい」と真剣な面持ちでキャンディを味わうアン。
もう1つ欲しいとねだってみると、来週買っておくからまた診察に来るようにと予約を取り付けられました。
翌週診察に行かなかったアンですが、次の週にトンプソン先生を訪ねると約束通り用意してくれていた、袋入りのジンジャーキャンディ。
横並びに座り、「面と向かって余命宣告なんて出来ない」と語るトンプソン先生の暖かさが滲み出る切ないシーンでした。