犬ヶ島 (Isle of dogs ’18 USA)

犬たちは懐かしの好物について語り合う。

誇り高き野良犬・チーフの心に残るのは

おばあちゃんが火鉢に入れてくれた、チーフのためだけのチリ。

Story

ドッグ病の蔓延るメガ崎市。

小林市長はドッグ病を一掃するため、市中の犬たちを全てゴミ島送りにしてしまう。

市長の義子・アタリ少年は、愛犬・スポッツを救い出すため1人ゴミ島に乗り込んだ。

そこで出会ったのは、団結して生き抜いてきた5匹の犬たち。

アタリは彼らと心を通わせるが、そこに怪しげな集団が現れて-。

小林市長の裏の顔を知った5匹の犬とアタリ少年。

このままでは犬たちがみんな殺されてしまう!とゴミ島から脱出する計画を立て、懸命に進み続けます。

おしゃべり好きな犬たちは、かつて自分たちが食べていた好物について話に花を咲かせることに。

教師に飼われていたレックスは、缶詰の「ドギーチョップ」にビスケットとビタミンを混ぜたものが特別なご馳走だったそう。

その「ドギーチョップ」のCMに出ていたキングは、誕生日になると神戸牛のリブ・アイステーキを食べていたというグルメ犬。

野球チームのマスコット犬・ボスは試合の日に売店で焼き鳥スタイルのソーセージをもらっていました。

バランスの良い食事を用意してくれた飼い主が大好きなデュークは、抹茶アイスがお気に入りの甘党。

そしてアタリ少年にもなかなか心を開かず、誰よりも野良犬魂を誇るチーフの順番が回ってきました。

残飯だろうがゴミだろうがなんだって食べるというチーフですが、忘れられない思い出の味がひとつだけありました。

たった一度捕まって里親のもとへ送られた経験のあるチーフ。

里親は5人の子供たちと2匹の犬がいるとても裕福な大家族だったそうです。

1番年下のちびっこ・トシロウがチーフの側へやって来て、撫でようとした時のこと。

チーフは自分でも驚くほどの強さでトシロウの指を噛んでしまったのでした。

里親一家は大騒ぎ、チーフは物置へと隔離されてしまいます。

その時トシロウのおばあちゃんが持ってきてくれたのは、火鉢に入ったチリ。

心を開くことが出来ずに小さな子供を噛んでしまったチーフですが、用意してもらえたご飯。

そこにはおばあちゃんの優しさが込められていました。

残り物だったかもしれないけれど、自分のために作ってくれたんだと思いたい、と語るチーフ。

おばあちゃんのチリはチーフの心を素直にさせてくれる、唯一の思い出の味でした。

過酷な状況でも心の支えになる、大好物や思い出の味。

愛情たっぷりの食事こそが、彼らの強さの秘訣だったのだと思える素敵なお話でした。

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