頑張っているあの人には、大好きなケーキを。
ジョゼフのママが作ってくれたのは、パイナップルのケーキ。
Story
自閉症を人々をケアする施設である無認可の団体”正義の声”。
どこからも見放された重症の子どもでも受け入れてくれる彼らは、毎日目まぐるしく働いている。
ある日パンク気味の”正義の声”に、厚生省から監査が入ることになって-。
リーダーであるブリュノが”正義の声”を立ち上げたのは、ジョゼフがきっかけでした。
物を投げたり、叩いたり叫んだりを繰り返すジョゼフに両親は困惑、学校もたらい回しにされます。
「ジョゼフに適切なケアを」と願う母親はようやく見つけた施設へジョゼフを託しますが、薬でねじ伏せるやり方にショックを受けました。
薬を過剰に投与されたジョゼフは「まるで植物人間だった」と語る母。
もう2度と施設には入れないと決めた両親は、我が子にキャンプを体験させてやりたいとあらゆる組織に片っ端から電話をします。
その時に出会った人物が、ブリュノ。
ジョゼフの状況を知ったブリュノは3週間、ジョゼフを山でキャンプさせ過ごすことに成功するのです。
新鮮な空気の中、理解者となってくれたブリュノと過ごしたことでジョゼフはすっかり元気に。
この後ブリュノは”正義の声”を立ち上げ、ジョゼフのような若者をケアすることに全力を注ぐのでした。
友人で”寄港”という若者たちの就労支援を行う団体のリーダーであるマリクとともに、多くのケアとサポートを続けるブリュノ。
ジョゼフの就労に尽力し、ようやくジョゼフの大好きな洗濯機を扱う工場で1週間のお試しとして雇ってもらえることになりました。
最大の問題は、ジョゼフが通勤のために電車に乗れないこと。
ジョゼフは電車に乗ると必ず非常ベルを押してしまい、目的地まで行けずに降ろされてしまうのです。
電車に乗る訓練中、やはりベルを鳴らしてしまったジョゼフ。
ブリュノは急いで迎えに行き、「ベルを押してはいけない」と注意してから「ケネディ駅まであと少しだったな」と褒めてあげました。
ジョゼフを送って行ったブリュノに、ジョゼフの母親が用意してくれていたのはパイナップルのケーキ。
分刻みのスケジュールが詰まっているブリュノのために、「持って帰って食べて」と包んでくれました。
ジョゼフの仕事がうまく行かなくて、みんなで落ち込んでいる時も一緒に食べたパイナップルのケーキ。
ケーキに手をつけず一度帰ろうとしたブリュノでしたが、思い詰めた様子のジョゼフの母親のために「やっぱり食べていくよ」と優しく微笑みます。
人を思いやることの出来る深い愛と、明るい未来を諦めないブリュノの強さがつまった、優しいシーンでした。