大好きなのは、ママの手料理。
“死の天使”ことカルリートスの大好物は、ミラノ風カツレツ。
Story
1971年のブエノスアイレス。
親にも平気で嘘をつき、物を盗むことに罪悪感を覚えない17歳のカルリートスは、転校先で仲間に出会う。
父親のホセがその道のプロであるというラモンは、その度胸を買ってカルリートスを父親に紹介する。
強盗を繰り返す3人だったが、カルリートスの底知れない闇を感じ取ったホセは-。
天使のような美貌の持ち主であるカルリートスの両親は、ごく平凡な人たちでした。
心から愛されているカルリートスですが、ちょくちょく高価な物を家に持ち込み、「友達に借りた」「友達にもらった」と嘘を重ねます。
注意してもまるで悪びれず返事だけは素直なカルリートスに、両親も困惑気味。
母親が用意していた夕食でカルリートスが喜んだメニューは、ミラノ風カツレツ。
「大好物だ」と無邪気に喜ぶカルリートスの顔は天使のようで、あちこちで盗みを重ねている影など微塵も感じられません。
問題を起こして少年院に入っていたカルリートスは、工業専門学校へ転入することに。
転入初日にカルリートスの目を引いたのは、大人びた雰囲気で1人佇むラモン・ペラルタ。
腕っ節の強そうなラモンをわざと挑発して殴らせ、ラモンの懐に入り込むことに成功。
ラモンの父親・ホセは年季の入った強盗で、息子のラモンをその道に引きずり込んだ筋金入りの悪党。
肝の据わったカルリートスを気に入ったホセとラモンは、3人で次々と強盗を働いていくのでした。
カルリートスのスキルを天才的だと認めながら、その協調性のなさに危機感を覚えるペラルタ親子。
悪い予感は的中し、ラモンはあっさりとカルリートスに裏切られることになりました。
ラモンと別れたカルリートスは久しぶりに両親の待つ家へ帰ります。
この日母親が作っていた夕食も、偶然ミラノ風カツレツでした。
シンプルなカツレツに、レモンとマッシュポテトが添えてあるカルリートスの大好きなメニュー。
両親に会うよりも先に椅子に座り、食べ始めるカルリートス。
カルリートスに気づいた母親も、戻ってきた息子を何も言わずに抱きしめます。
何もなかったふりをして過ごそうとする両親、夢中で食べる息子を優しく見守るのですが、カルリートスはそんな気遣いすら踏み付けに。
大金の詰まった鞄を食卓に投げ出して「父さんより稼いでる」と言い放つカルリートス。
警察へ届けるという父親さえも脅して丸め込んでしまいます。
愛の詰まった夕食さえも”死の天使”には届かないと思い知らされるシーンでした。