ホッとする懐かしい家庭の味。
オーナーのルイスが好むのは
ダンカンの作る素朴な
“本物の”イタリア料理。
Story
ルイスの経営するレストラン”ジジーノ”は、今日も予約でいっぱい。
客の目当ては、息子でシェフのウードが作るスタイリッシュなイタリアンだ。
その夜の”ジジーノ”には、ギャングの2人組が訪れて-。
ルイスが妻とトライベッカにイタリアンレストランをオープンさせたのは、ずいぶん昔のこと。
店名のジジーノとはルイスの愛称である”ジジ”と小さいと言う意味を合わせた名前で、妻はいつも美味しい料理を作ってくれていました。
金儲けをしようとエンリコをパートナーとし、賭けの胴元も務めるなど裏社会とも関わっていたルイス。
妻が亡くなりシェフの座を引き継いだ息子のウードが腕をふるうようになってから、店は大繁盛となりましたが、ルイスは複雑な心境です。
「母さんの料理は天国の香りがした」と亡き妻のシンプルかつエレガントだった料理を懐かしむルイス。
店を繁盛させたのは自分だと店の権利を譲るよう迫るウードでしたが、「今はダメだ」と決して首を縦に振りません。
2階のいつもの席でルイスが口にするのは、スーシェフであるダンカンの作るイタリアン。
ウードの右腕として働くダンカンの作る料理は、ルイスの求める「滋養味のあって伝統的な」イタリアンそのものでした。
古臭いからとミートボールやソーセージを使わないウードと違い、ルイスのためにわざわざソーセージを買ってきて調理するダンカン。
冒頭でルイスとエンリコが舌鼓を打っていたのも、ダンカンの作ったシンプルなトマトソースのパスタなどでした。
ルイスはダンカンの料理しか口にせず、「イタリア料理の新言語」と賞賛されるウードからも信頼されるほど、ダンカンの腕前は確かなもの。
一方でギャンブル依存という大きな問題を抱えていて、お店を巻き込むほどの問題を引き起こしてしまうのでした。
バーで1人食事をとるウォール街の男、嫌味な画商の一行、ルイスの店を乗っ取ろうとやって来たギャング。
その日のディナータイムもお客で大混雑のジジーノですが、スタッフたちは何かがいつもと違うと違和感を感じているようです。
ウードが手を出した評論家、刑事とその妻がやってきた頃には、厨房はもう殺人的な忙しさ。
ひとつのレストランの中にあるたくさんのストーリーはもちろん、出てくる料理のひとつひとつが魅力的な本作。
見終わったあと食べたくなるのは、ウードの作る斬新な一皿か、ダンカンの作る素朴な一皿か…それとも、チョコレートケーキでしょうか?