テッド・バンディ (Extremely Wicked, Shockingly Evil and Vile ’19 USA)

テッド・バンディ (Extremely Wicked, Shockingly Evil and Vile ’19 USA)

どうしようもない苦しみには、さりげない優しさが深くしみ渡る。

必要なのは思いやりと、温かいチキンスープ。

Story

1975年8月、ユタ州で1台の車がパトカーに停められる。

運転していた男の名前はテッド・バンディ。

車に積まれた不審な荷物から近辺で起きた事件の容疑者として逮捕されるものの、冤罪を主張するテッド。

報道で明らかになっていく、数々の事件の恐ろしい詳細、日々不利になっていく状況。

まるで違う一面を見てきた婚約者のリズはテッドを信じたいと願うが、深まっていく疑惑に動揺を隠せず-。

凶悪な犯罪を重ねたシリアルキラー、テッド・バンディ。

2度に渡る脱獄や、TVカメラの前で見せた自己弁護などのパフォーマンスでも注目を集めた有名な殺人犯です。

残忍な犯行の手口が明らかになる一方で、その整った顔立ちや堂々とした態度から多くのファンができるなど、話題に事欠かなかったテッド・バンディ。

無実を信じる婚約者・リズの視点から見た彼はあまりにも犯人像からかけ離れていました。

シングルマザーの自分を受け入れてくれて、娘とも仲良く過ごしてくれたバンディ。

幸せな思い出と正反対の事実を伝える報道、冤罪だと信じてほしいという彼の言葉とは裏腹に立証されていく罪。

リズは徐々に心のバランスを失くしていき、アルコールへと逃げ道を求めるようになります。

そんなリズを気にかけてくれたのは、職場の同僚であるジェリーでした。

新年はどう過ごすのか、抱負は?などと他愛もない話題で、リズの心をほぐそうとしてくれます。

リズはアルコールの問題を指摘した友人とも喧嘩になってしまい、孤独とお酒に溺れる暗い日々を過ごしていました。

事件の報道を見ては落ち込み、お酒の空き瓶だけが増えて荒れ果てていく家の中。

仕事にも行けず横たわっている時に聞こえた小さなノックの音。

なんとか起き上がりドアを細く開いてみると、そこにはジェリーの笑顔がありました。

リズの体調を気遣ってジェリーが差し入れてくれたのはチキンスープ。

お大事にね、と帰りかけたジェリーを呼び止めてドアを開いたリズは、ようやく回復への一歩を踏み出すことが出来たのです。

通常では起こり得ないような苦しみにもがき泣き続けるリズを、ジェリーは献身的に支えました。

判決が出てようやく一区切りついたリズは自らお酒の瓶を片付けて、友人とも仲直りを果たします。

リズが必要とした時に示されたジェリーの思いやりと、温かいスープ。

血の通った人間らしい優しさは、孤独を埋め、深い傷を癒す最良の薬だと教えてくれました。

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