美しい国で、異国人同士は助け合って暮らす。
オクウェが敬意をもって作ったのは
ポークの代わりにラムを使ったナイジェリア料理。
Story
オクウェはロンドンで暮らすナイジェリアからの不法移民。
昼間はタクシー運転手をして、夜はホテルのフロントとして働いている。
同じホテルで清掃員をしているトルコからの移民・シェナイの助けによって、シェナイの家のソファを寝床にして暮らしていた。
ある夜、娼婦であるジュリエットに指摘されてホテルの部屋を調べたところ、トイレの中から心臓を発見して-。
故郷を追われてロンドンに流れ着いたオクウェ。
オクウェはナイジェリアで医者として活躍してきた立派な男です。
持ち前の面倒見の良さもあって、ロンドンでも多くの難民たちを助けていました。
オクウェの友人は病院の遺体安置所で働くグオイで、必要な薬品を入手してくれる頼もしい人物。
2人でお茶を飲んでチェスを楽しむ時間は、オクウェにとって束の間のオアシスでもあります。
ホテルでは夜間のフロントとして働いていて、同じく夜間ドアマンのイヴァンになにかと構われ親しまれているオクウェ。
トルコ人女性で昼の清掃勤務をしてるシェナイと同棲しているのかと聞かれたオクウェですが、シェナイのソファを借りているだけだと答えます。
実際シェナイはホテルで顔を合わせても会話をせず、外でも会わず、家には入れ替わりでいることを条件にオクウェの寝泊りを許してくれているのです。
文化的な価値観から非常にガードも固く、誰かに知られれば自分も移民局に通報されるリスクがある中、助けてくれるシェナイ。
それは同じ「外国人である」という苦労を知っている者同士の連帯感からくるものだったのでしょう。
そんなシェナイに心から感謝しているオクウェは、昼ご飯を作って一緒に食べることを提案。
ルールを破ることを嫌がるシェナイでしたが、材料を買い込んだオクウェを追い払うことも出来ずしぶしぶ承諾します。
シェナイがバスルームにこもっている間に、カミソリを包丁がわりにオクウェが手際よく作ったのが、オクウェの故郷・ナイジェリアの料理でした。
ナイジェリアでは豚肉がよく食べられるのですが、イスラム教徒でもあるトルコ人のシェナイには豚肉はご法度。
シェナイへの感謝と敬意を表すためにオクウェはきちんとラム肉でアレンジしていました。
シェナイもよく食べて、ワインを飲みながら満足そう。
お互いをリスペクトするためには、まず相手をよく知ることが大事だと教えてくれるランチでした。