時に食べるということは
恐怖への対峙になることがある。
エレンが”最後の晩餐に”願うほど好きなのは
グーグークラスター。
Story
拒食に陥り命の危険があるエレンだが、なかなか回復の手助けとなるてがかりがない。
ようやく巡り合った風変わりな医師・ベッカムからは、「回復を望むなら治療する」と条件を突きつけられて-。
深刻な拒食症で苦しんでいた20歳のアーティスト・エレン。
“食べない”ということに囚われて痩せすぎの体を維持することを望み、正常な判断すら出来なくなっています。
食べ物を見ると瞬時にカロリーを計算してしまい、自分はコントロールができていると真逆の思考で考えてしまうのです。
あらやる病院や施設を転々としながらも、回復どころかどんどん意固地になっていくエレン。
大学を中退し実家に戻ったエレンを、義母のスーザンはとある病院へと連れて行きます。
予約した病院で待っていたのは、型破りな治療をすることで有名な医師・ベッカム。
ベッカムは過去の出来事やエレンの食べ物への自論を一切受け付けず、「助かりたいのなら治療を続ける」とだけ告げるのでした。
のらりくらりと言い訳を重ねようとしていたエレンですが、「力になれない」と切り捨てるベッカムに衝撃を受け、ようやく心を決めることに。
「6週間の入院」と告げられてたどり着いた先は、郊外の大きな一軒家。
「門出の家」と呼ばれるその施設にはエレンと同じように悩む若者たちがいて、共同生活を送っていました。
ポジティブな言葉や優しさを受け入れられず、施設への入所もまだ懐疑的なエレン。
セラピーの中で自身が”依存症”である事を知り、一進一退の中でも回復への希望を持つ他の入所者を見るうちに、少しずつ変化が。
大きな支えとなってくれたのは、唯一の男性入所者でバレエダンサーとして活躍していたルークの存在でした。
陽気で前向きなルークに初めは反発していたものの、エレンは自分の問題だと受け入れて会話を求めるように。
ルークの部屋で語り合い「大好物で、最後の晩餐に一箱食べたい」ものを告白して見せるのでした。
エレンが本当は食べたいと言ったのは、”グーグークラスター”という名前のチョコレートバー。
グーグークラスターは全米で初となるマシュマロとピーナツをコーティングしたチョコレート菓子を売り出した”グーグーショップ”の看板商品です。
初めて売り出されたのは1912年と歴史あるチョコレートバーのグーグークラスターは丸いフォルムが特徴。
エレンはやがてグーグークラスターに果敢に挑むことになるのですが…。
特効薬のない苦しみに1番必要なのは、心の底から”生きたい”と願う気持ち。
心の傷と向き合う若者たちに、たくさんの勇気をもらえる作品です。