好きな食べ物なら、食べ方にも徹底的にこだわって。
レイモンドが好きなおやつは
爪楊枝で食べるチーズボールとリンゴジュース。
Story
資金繰りの悪い高級車ディーラーのチャーリー。
疎遠だった父親が亡くなったという知らせを聞き、遺産目当てに帰郷する。
ところが車と庭のバラ以外の遺産は、存在さえ知らなかった兄のレイモンドの信託財産となっていると聞かされてー。
経営を立て直す唯一残った手段として、父親の遺産を受け取るつもりだったチャーリー。
帰郷して知ったのは、チャーリーは遺産を受け取れないということと、見知らぬ兄がいることでした。
誰も存在を教えてくれなかった兄のレイモンドは発達障害で、長年施設で暮らしていたよう。
数字を瞬時に計算できたり、本でも電話帳でも丸暗記できてしまう才能がある一方、強いこだわりで生活をルーティン化させないと不安になってしまうのです。
施設では曜日ごとに食事のメニューが決まっていて、食べる時間まできっちりと同じでないと不安を覚えるレイモンド。
チャーリーに強引に連れ出されたホテルで「月曜日だからイタリアンとソーダ、食後にタピオカ・プティングを」と要求します。
レイモンドの言うイタリアンは、ペパロニ・ピザのことだったようです。
タピオカ・プティングに似たものも注文してもらえて、いつものおやつも買ってもらえたレイモンド。
レイモンドのお気に入りのおやつは、爪楊枝で食べるチーズボール・スナック。
チーズボールに限らずなんでも爪楊枝で食べたがるレイモンドは、テーブルに爪楊枝がないだけで落ち着かないのです。
火曜日にはパンケーキと決まっていたのですが、テーブルに爪楊枝もシロップも置いていなかったダイナーでレイモンドはソワソワ。
シロップはパンケーキが来るより先にテーブルにないといけない、と繰り返します。
「雨の日は外に出ない」と決めているレイモンドのために、水曜日のメニューの魚のフライとゼリーを買いに走るチャーリー。
「いつもは8つなのに4つしかない」とつぶやくレイモンドのため、チャーリーはフライを切って8つにしてあげます。
最初は嫌々対応していたチャーリー、いつの間にかレイモンドのペースに合わせるようになっていました。
チャーリーの暮らすロサンゼルスに連れてきて、TVを見ながら一緒に食べたチーズボールも、チャーリーは爪楊枝でパクリ。
翌朝レイモンドを連れて行ったのはパンケーキのお店。
シロップが先にテーブルにあることを教えてあげたチャーリーに、レイモンドは初めて笑顔をみせてくれました。
すっかり親友になった2人のラストシーンが暖かい、素敵な作品でした。