たちこめるタバコの煙と、ビールの空き瓶。
下らない話で盛り上がる悪党たちが食べたのは
安っぽいダイナーの朝食。
Story
ジョーと息子のエディは宝石店への強盗を企てて、6人の男たちを集める。
お互いを色の名前で呼び分け、素性を明かさないルールを課せられた男たち。
すぐに警察が現れて完璧なはずの強盗計画は失敗し、死傷者を出してしまった。
仲間の中に裏切り者がいる。
男たちは押し入った時を振り返り、内通者を炙り出そうとするが-。
悪党たちだってお腹は空きます。
特に大事な一仕事の前には腹ごしらえが肝心、黒のスーツで揃えた男たちがダイナーで朝食を食べるのが本作のオープニングシーンです。
とは言ってももうすでに朝食は食べ終わっていたようで、Mr.ピンクがトーストをかじっている以外にこれと言ってメニューは映りません。
ほとんど全員が吸っているタバコや葉巻の煙で男たちの周りは白く霞んでいます。
テーブルに残っているのはケチャップとビールの空き瓶、そしておかわり自由のコーヒーのカップ。
マドンナの「ライク・ア・バージン」についてMr.ブラウンがとてつもない下ネタ解釈を繰り広るのを、半ば呆れ顔で聞いている残りの男たち。
ジョーはマイペースに昔の住所録を見ながら思い出せない名前に苦戦し、ジョーの隣に座っていたMr.ホワイトは住所録を取り上げます。
その後も70年代のクールな曲を流すラジオの話題で盛り上がり、男たちのおしゃべりは一晩中でも続きそうです。
でもお話はこれから。男たちにはこれから宝石店へ強盗に入るという大仕事が待っています。
そろそろ行くかとジョーが伝票を取り、朝ご飯はジョーのおごり、チップ代はみんなで払うという流れになりました。
ここでチップを払いたくないと駄々をこねたのがMr.ピンク。
コーヒーを6杯は飲みたかったのに3杯しか注いでもらえなかったとウェイトレスのサービスに文句をつけます。
チップがないと給料は安いんだぞ、となだめるMr.ブルーや、決まりなんだから1ドルずつ払えとせっつくエディ。
それでも、サービスが良ければ払うけど今回は払わないと頑なに言い張るMr.ピンク。
勘定を終えて戻ってきたジョーはチップが足りないことに気づいて怒り出し、Mr.ピンクもしぶしぶ払うことになりました。
特に映画の本筋とも関係のない下らない会話ばかりなのですが、各々のキャラクターが少しずつ垣間見えるのが面白いこの朝食シーン。
特に美味しいものもなく、安さだけが売りといった感じのダイナーもなぜか魅力的に見えてしまいます。
そしてダイナーを出た後のクレジットタイトル・オープニングテーマが痺れるほどカッコいい!
ストーリーへの期待が高まる重要な”無駄な朝食シーン”でした。