羊たちの沈黙 (The Silence of the Lambs ’91 USA)

羊たちの沈黙 (The Silence of the Lambs ’91 USA)

「食べること」のもつ意味とは。
レクター博士がオーダーしたのは
仔羊のステーキ。

Story

優秀なFBI訓練生のクラリスは、上司から直々に任務を課される。

それは「人喰い」のハンニバル・レクターに心理分析を受けさせるというものだったが-。

突然クラリスに下された指令は、ハンニバル・レクターという重警備精神病棟に収監されている囚人に心理分析を受けさせる、というものでした。

ただしそれは表面上の話で、実際には現在起きている猟奇犯罪の犯人探しを協力させようというもの。

頭脳明晰な元精神科医であり、猟奇殺人犯であるレクター博士の視点を借りて、犯人像に迫ろうという、行動科学課の最後の手段だったのです。

成績優秀で行動科学科に入ることを希望していたクラリスは、初めての凶悪犯との面接に緊張気味。

それでも「訓練生を寄越すとは」と協力する気のなかったレクターの気を引くことに成功し、その頭脳を認められることとなりました。

クラリス自身のことを語ることと引き換えに、事件の犯人について話をすると約束したレクター。

クラリスは謎々のような言葉ばかりのレクターに振り回されながらも、事件の核心に迫っていくようになりました。

クラリスがレクターを上手く騙していたのを盗み聞きしていたのは、レクターの精神科医であるチルトン。

あまり利口でないチルトンは自身の名声と出世のためにレクターに騙されていることを告げてしまい、レクターの脱出のきっかけを作ってしまいます。

せっかくの重警備施設から移送され、脱出の隙をうかがうレクター、その手には手錠を外すための金属片がありました。

最後のチャンスだとクラリスがレクターの元を訪れ、犯人について話すよう迫りますが、逆にクラリスのトラウマについて尋ねたレクター。

子羊を抱えて牧場から逃げ出したというクラリスの幼い頃のトラウマを語らせるのみで、事件については曖昧なヒントをほのめかすだけでした。

正直に話をするクラリスを気に入っていたレクターは、脱出の手段として収監場所に食事を運ばせます。

レクターがオーダーしてみせたのは、クラリスとの話題にあがった仔羊のステーキ。

何にでも意味を持たせたがるレクターのお遊びで選ばれた一品です。

ステーキは食べられることなく、この後凄惨な事件を起こして見事に脱走してみせたレクター。

クラリスのトラウマである子羊の悲鳴がやんでも、あとに残るのはレクターの影。

クラリスに最後にかけた電話でも「これから古い友人を食事に…」と不穏なことを言いながらチルトンを目で追っていました。

どこまでも冷静な「人喰い」レクターにゾッとさせられる名作です。

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