癒しの場に必要な、思いやりと甘い物。
自助グループの集会に欠かせないのは
定番のドーナツ。
Story
こだわりの家具や一流ブランド品に囲まれて暮らしているものの、不眠で苦しんでいた”僕”。
出張のために乗った飛行機で、自由な精神と色気を持つ男”タイラー・ダーデン”と出逢って-。
ファイト・クラブ、それは男たちの聖地。
ただひたすらに殴り合うことで生きていることを強烈に感じることが出来る、まさに男たちのオアシスでした。
絶対にして第一のルールは”ファイト・クラブについて誰にも話すな”。
口外厳禁の秘密のクラブでしたが、毎週のように人が増えて大所帯となり、いつの間にか他の都市でも創設されていたのです。
素手で殴り合うだけだったファイト・クラブはタイラーという男を崇める集団となり、やがて社会に牙を剥くテロリズムと結びつくことに。
軍隊のように組織された男たちは、もはや誰にも止めることが出来ない狂気を膨らませていきました。
そもそも”ファイト・クラブ”創設前の、”僕”とタイラーが出会った時。
タイラーと殴り合って”僕”が得られたものは、生きがいと睡眠でした。
情熱を持てない仕事で稼いだお金で、贅沢な家具やお洒落な食器・高級なファッションを手に入れても空しかった日々。
いつしか不眠症に悩まされるようになった”僕”は病院を訪れますが、医者は薬を出すことを拒みました。
「苦しい」と訴える”僕”に、「睾丸ガンの患者の会合こそが”苦しみ”だ」と返す医者。
興味を持った”僕”はその足でガン患者のための自助グループを訪ねます。
自分も患者であると偽って会合に参加したところ、心からの慰めと癒しを与えられることとなりました。
ボブという患者の胸で泣きじゃくり、自由を得た気がした”僕”は、久しぶりに深い眠りを取り戻すことができたのです。
一度体験すればのめり込むようになってしまい、「アルコール依存症」「過食症」「結核患者」とどんな自助グループにも参加した節操のない”僕”。
どんなグループに参加しても、必ず用意してあるのはコーヒーとドーナツ。
のちにファイト・クラブで再会したボブもドーナツをムシャムシャと食べていました。
自助グループに依存することで自身の問題から逃れ続けようとしていた”僕”ですが、タイラーと出会った日から人生が一変します。
何事にも縛られないタイラーと殴り合い、ビールを飲んで過ごす週末は、”僕”にとってどんな薬やドーナツよりも強力な効き目があったようです。