ソウルフードは、幸せの味。
ミニーがシーリアに教えてあげたのは
ショートニングで揚げるフライドチキン。
Story
1960年・ミシシッピ州。
ライター志望のスキーターは故郷であるジャクソンへと戻ってくるが、裕福な友人たちの黒人メイドへの扱いに不快感を覚える。
メイドたちに直接取材をして、人々が目を逸らす”真実”について書くこと決めたスキーターだったが-。
黒人メイドとのトイレの共有は病気がうつる!などと本気で宣う屋敷で働いていたミニー。
勝手に屋敷の中のトイレを使ったと責め立てられ、クビにされてしまいます。
ミニーは密かに恐ろしい仕返しをして憂さ晴らしをしたものの、仕事がないと困るのも事実。
次の雇い主となりそうなのは、シーリアという偏見を持たない無邪気な女性の住む屋敷。
「夫に自分で料理が出来ると思わせたくて、内緒で雇いたい」と訴えるシーリア。
家の主人がミニーを気に入らなければ身の危険すらあると懸念したミニーですが、渋々承知することに。
シーリアは大喜びし、ミニーを雇いつつ自分でも料理を覚えようと奮闘するのでした。
なにが作れるのか尋ねたミニーにシーリアは「コーンブレッドと茹でたポテト、それにコーングリッツ!」と答えます。
鶏の頭を落とす勇気はあるのに、ケーキを作らせたらキッチンを粉まみれにしてしまい、最終的には焦がしてしまうシーリア。
ミニーがそんなシーリアに教えてあげたのは、ショートニングで揚げるフライドチキンでした。
ミニーにとってフライドチキンはまさにソウルフード。
食べると幸せな気持ちになれるんだと語るミニーの顔は確かに幸せそうでした。
大きな紙袋に衣用の粉類と鶏肉を入れたミニーは、紙袋をシーリアに渡します。
最初は戸惑っていたシーリアも、紙袋を振り出すと楽しくてたまらない!と最高の気分に。
気分の上がりすぎたシーリアに慌てたミニーは「そんなに振らなくても鶏はもう死んでますよ!」と紙袋を奪還。
ミニーと仲良くなりたいシーリアはダイニングで食事をせず、強引にミニーの食卓へ押しかけてフライドチキンをパクリ。
ミニーは強くたしなめたものの、シーリアの純粋な気持ちに根負けして一緒にフライドチキンをガブリ。
出来が良すぎて夫にバレるかもしれないから少し焦がしてみたらどうか、と提案するシーリアに、ミニーは「私のフライドチキンを焦がすなんて!」と怖い顔をして見せました。
どれだけ酷い目に遭わされても人を愛することをやめなかった黒人たちのソウルフード。
一言では語れない歴史を持つ食べ物ですが、誰が食べても幸せな気分になることだけは間違いないのです。