どんな豪華な料理よりも貴重なのは
二度と戻らない少年時代の思い出の味。
ゴーディが仲間たちと食べたのは
焚き火で焼いたパテのハンバーガー。
Story
1959年の夏。
オレゴンの退屈な田舎町に住むゴーディは、仲間のクリスたちといつもの秘密基地で過ごしていた。
“森の中に死体がある”という情報を聞きつけた彼らは、死体を見つけてヒーローになろう!と小さな冒険を始めるが-。
ゴーディの住むキャッスルロックは何もない田舎町で、貧しい家が多く、若者たちは退屈しのぎに悪いことばかりを繰り返していました。
ゴーディの仲間たちも家庭環境の良くない少年ばかり。
それでもゴーディは親友のクリス、テディ、バーンの3人といつも一緒に行動し、木の上に建てた秘密基地でポーカーに興じていました。
ある日バーンが仕入れてきた”森の中に少年の死体があるらしい”という情報をもとに、死体探しという冒険を始めることになった4人。
死体を発見すればテレビにも出られるし、ヒーローになれる!と盛り上がった少年たちは、寝袋に水筒・クシや拳銃を持ち寄って森を目指します。
いざ出発!と同時に誰も食料を持ってきていないことに気付いた彼らは、なけなしのお金をかき集めて道中の食料品店で買える食材を買うことに。
街で一番危険な犬だと評判の屑鉄置き場の犬に追われたり、鉄橋で汽車に轢かれそうになったりと危険な目に遭いながらも、いつもと違う刺激的な時間を過ごす少年たち。
一晩野宿をすることになった彼らは、焚き火を囲んで晩ご飯を食べることになりました。
たった2ドルの所持金でゴーディが買ったのは、ハンバーガーバンズと挽き肉、4人分のコーラ。
挽き肉を木の枝に巻き付けて焚き火で焼き、バンズに挟んで食べる簡素なハンバーガーですが、冒険の途中である彼らには充分なご馳走。
食後にはクリスが父親からくすねてきたというタバコをみんなで一本ずつ吸い、「この一服がたまらない」などと感想を言い合います。
残念ながら朝ご飯分の食料までは買えず、腹ペコで冒険の続きに出発することになった翌朝。
4人は森で見つけた野いちごを食べ、口元や服を真っ赤に染めながら目的地へと急ぎました。
暑さも空腹も、本来の目的さえも重要ではなく、共に過ごす特別な時間こそが必要だった少年たち。
もう二度と訪れない、泣きたくなるほど懐かしく貴重な時間。
きっとどれだけ贅沢なご馳走だって、この日のハンバーガーの味には敵わないのではないかと思わされる、愛おしい食事シーンでした。