同じメニューに飽きてしまった時こそ
発想の転換を。
ウスバルが子供たちのために出したのは
朝食用のシリアル。
Story
バルセロナでメキシコからの移民として暮らしていたウスバル。
まともな職もなくギリギリで生活していたウスバルは、ある日余命が2ヶ月だと告げられて-。
2ヶ月ほど体に不調を抱えたままやり過ごしていたウスバル。
痛みが我慢できなくなってようやく行った病院で検査を受けることになりました。
躁鬱病で夫だけでなく子供まで振り回してしまう妻・マランブラと別れて以降、2人の子供を抱えてのギリギリで暮らし。
ずっと貧困と共に生きてきたウスバルにはまともな職さえなく、自分と同じ移民や不法滞在者たちに怪しげな仕事を斡旋して生計を立てているのです。
その一方で死者の姿を見て、彼らと会話をすることができるという繊細な顔も持つウスバルは、その力を正しく使い人々を癒すこともありました。
中国系の友人に子守を頼み、仕事が終わると迎えに行って親子で夕食を食べる毎日。
「毎日魚なんてイヤだ」と息子のマテオが言ったのをきっかけに、ウスバルは気の利いたアイデアでいつもと違う食事を用意することになりました。
ウスバルが取り出したのは朝食用のシリアル。
何が食べたい?と尋ねたウスバルに「ハンバーガーとポテト、チョコレートシェーク!」と答えるマテオ。
娘のアナも「目玉焼きとソーセージ、ポテトオムレツとシナモンカスタード」と嬉しそうに答えます。
ウスバルは大きなお皿にシリアルを入れてたっぷりの砂糖とミルクをかけ「これがハンバーガーと山盛りポテト、特大のシェークだ」と微笑みます。
アナのお皿にも同じように「目玉焼きとソーセージ、ポテトオムレツにシナモンカスタードだよ」とシリアルを入れてあげたウスバル。
いつも朝に食べる大好きなシリアルを、子供たちの想像力で食べたいメニューに置き換えて見せたのです。
贅沢をさせてやれないどころか、まともな暮らしさえ送らせてやれない子供たちに、少しでも愛情を与えたいというウスバルの親心が溢れるシーン。
のちに癌であることがわかり、余命がたったの2ヶ月であることを告られるウスバルですが、子供たちのために最低限のお金をと奔走します。
アナの髪を結ったり、単語の綴りを教えてあげたりしてできる限りの愛情を注ぐ姿は普段通りの優しい父親そのもの。
体の痛みを隠して、最後まで彼なりのやり方で子供たちを守り抜いたウスバル。
2人の子供の記憶に残る父親の姿はまさに美しく、誇り高いものとなることでしょう。