悩める中年役者に愛の手を。
再起のかかった舞台で
くたびれ果てたリーガンが食べたのは、
マヨネーズをつけたハム。
Story
過去のヒット作「バードマン」シリーズ以外に当たりがなく、すでに過去の人として扱われている俳優のリーガン。
自ら演出と主演を手がけた舞台でブロードウェイ進出を目論むが、初めてのプレビュー公演は散々な出来栄えで-。
ヒーロー映画「バードマン」のヒットも、もう20年前の話。
結婚生活は惨めに終わり、ひとり娘のサムは薬物治療の施設から出てきたばかり。
街を歩けば聞こえてくるのは「バードマンの人だ」という呼び声だけという、屈辱的な日々を過ごしていたリーガン。
ハリウッドの落ち目俳優で終わりたくないと、レイモンド・カーヴァーの作品を脚色・演出して主演を務めるという賭けに出ました。
プレビュー公演を翌日に控えているというのに気分は乗らず、共演のド下手な俳優にうんざり、オマケにセットのライトが落下するという散々な1日。
やっぱり中止にしようか…なんてことも頭をよぎるものの、大金を使い果たしてなおお金が足りない状況で、舞台を投げ出すわけにもいきません。
怪我をした俳優の代役に、ブロードウェイの著名な俳優「マイク・シャイナー」が参加することになり、ホッとしたのも束の間。
プレビュー公演の本番でマイクは本物の酒を煽り、慌ててすり替えたリーガンを舞台で罵倒、演技についての持論を捲し立ててみせました。
もう終わりだと頭を抱えるリーガンでしたが、なぜか意外とプレビュー公演は好評。
ようやく乗り切ったと胸を撫で下ろして迎えたプレビュー公演の最終日、最後の出番の直前にマイクとサムがイチャついている姿を見てしまったリーガン。
動揺して煙草を吸おうと出た扉は外から開けられず、ついでに衣装のローブが挟まって取れなくなってしまいます。
仕方なくローブを脱ぎ捨ててブリーフ一丁で劇場の表まで回るリーガンの姿は、あっという間にネット上に。
出番もなんとか間に合わせて演じきったリーガンでしたが、疲労は極限に達していたのでした。
放心状態のリーガンが冷蔵庫から取り出したのは、ハムとマヨネーズ。
フリーザーバックから取り出したハムをベストフードのマヨネーズの瓶にベチョっと浸して頬張るリーガン。
いつもつっかかるサムですら心配するほどの姿だったリーガンですが、サムの手前なけなしの気力を振り絞り「これ美味いぞ」なんて勧めてみせていました。
役者であり父親でありながら、どちらもうまくこなせないリーガンの哀愁漂うシーン。
この後サムの努力をうっかり台無しにしてしまうあたりで「そういうところだよ!」と言ってあげたくなる、ユニークなシーンでした。