息子のためなら
何を犠牲にしても構わない。
ビリーの父が困窮しても準備したのは
みんなで祝うクリスマスのディナー。
Story
1984年、イングランド北部の町・エヴァリントン。
炭鉱不況の吹き荒れる町でボクシングを習わされていたビリー・エリオット。
ボクシング・ジムの隣で開かれていたバレエのレッスンに魅了されたビリーは、密かにバレエを習うことにしてー。
母を亡くし、認知症の祖母と炭鉱夫の父と兄の元で育ったビリー。
音楽を聴きながら踊るのが好きなビリーですが、父はビリーを”強い男”にしたくて、祖父の形見であるグローブを託してボクシングを習わせています。
全然楽しめないボクシング・ジムに嫌々通っているのおかげで、結果はまるで振るわずコーチにも呆れられるビリー。
町は炭鉱のストライキでピリピリしていて、いつも険しい顔をしている父に「辞めたい」とは言い出せずにいるのでした。
そんなある日、ボクシング・ジムの横で開かれていたバレエ・レッスンをのぞいてみたビリーは、女の子達と同じように体を動かしてみることに。
コーチであるウィルキンソン夫人はビリーを中に招き入れ、他の子達と同じように指導してくれて、夢中になって練習をするビリー。
それ以来内緒でバレエ・レッスンに通い続けるビリーは、怒りや悲しみを全て踊りで表現しながら過ごすようになりました。
当然のように激怒したのは父と兄のトニー。
父子家庭・炭鉱夫の完全なる”男社会”なビリーの家には、「バレエなんて男のやることじゃない!」という偏見が根付いていたのです。
炭鉱のストライキは長引きながら激化を続けていて、生活は困窮する一方という状況でのビリーの反抗。
父は受け入れられず、かと言ってビリーを納得させる言葉も持たずに、家の中には疲れ切って険悪なムードが漂っていました。
季節は冬を迎え、やってきたクリスマス。
母親の形見であるピアノを叩き割り、薪として火にくべて暖をとるビリー達。
どうしようもない気分でも、家族のために父が用意してくれたクリスマスのディナー。
堅物で不器用な父がふいに見せた涙に、ビリーは何も言えませんでした。
やがてビリーの踊りを目の当たりにした父はビリーの夢を叶えてやりたいと願うように。
どんなに喧嘩したって、根底にあるのは家族の深い愛。
どれだけ苦しくても一緒に祝うクリスマスのディナーは切なく、より一層家族の絆の深さが伝わってくる、見事なシーンでした。