ローマ教皇だって、軽食を楽しむことがある。
ベネディクト16世とベルゴリオ枢機卿が一緒に食べたのは
マルゲリータとディアボラピザ。
Story
2005年のコンクラーベでローマ教皇として選出されたベネディクト16世。
保守的なベネディクト16世と、教会の改革推進派でもあるベルゴリオ枢機卿は意見の合うことがなかった。
2012年、ベルゴリオは考え抜いたあげく枢機卿辞任を願う手紙を書くが、ベネディクト16世からの返事はない。
バチカンへ直接出向いて辞表を渡そうと決めたベルゴリオは、航空券を購入するが-。
ベネディクト16世の目に映るベルゴリオ枢機卿は、どこまでも反抗的でした。
教会の改革を願うベルゴリオの言動全てが、教会に対する、ひいてはベネディクトに対する非難であると受け取っていたのです。
話術に長け、揺るぎない信念を持つことから余計に無礼な問題児として扱われるベルゴリオ。
ベネチアを訪れたベルゴリオは何度も辞任を願い出ますが、ベネディクトは受け入れてくれません。
ベネディクトは自室にこもり、その日は宿泊することになったベルゴリオ。
夕食にベネディクトの母のレシピだというバイエルン料理のクヌーデルを出されますが、なんとも素っ気ない見た目に笑ってしまいます。
クヌーデルはドイツで愛されるジャガイモを団子状にした食べ物。
「ベネディクト教皇は自室で1人で食べることを好む」とのことで、素っ気ないジャガイモ料理をそれぞれひとりぼっちで食べることとなりました。
それから何度も会話を重ね、お互いを理解し合うようになった2人。
開館前の誰もいないシスティーナ礼拝堂で話し合い、お互いの罪を赦し合った後、ベルゴリオはお腹が空かないかとベネディクトに尋ねます。
「お食事を用意します」と言う秘書を止めてベルゴリオが提案したのは、コーヒーを飲みに立ち寄ったお店のピザ。
秘書がチョイスしたのはマルゲリータとディアボラの2種類。
マルゲリータはモッツァレラチーズとバジル、ディアボラはチキンやサラミにトウガラシがトッピングされたもので、どちらもトマトソースベースのもの。
テイクアウトしてもらったピザは、きちんとお祈りをしてからファンタオレンジと共にいただきます。
ベネディクトのために毒見をしましょうか?と言うベルゴリオに対し、「私のピザだ」と断るベネディクトがとてもチャーミング。
孤独に毎食を済ませていた教皇が、枢機卿と語り合いながらピザを食べるほどに打ち解けあえるようになったこのシーン。
どれだけ違うバックグラウンドを持つ相手でも、心を許し合うことが大事だと教えてくれました。